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2008年10月26日

水谷修 講演会@京都学園大学

前エントリーの通り、昨日は京都学園大学の学園祭に行ってきました。

そもそも、今回行く理由になったのが、水谷修さんの講演会があるからでした。

以前からテレビで見ていて尊敬していた水谷先生のお話を生で聞けるなんて、夢にも思わなかったことです。しかもそれが母校で行われるということで、これ以外の機会はないなと思い、他の予定を調整してまで見てきました。

水谷先生の第一印象は、かなり元気でめちゃ礼儀正しいということです。司会者から紹介があると、勢い良く会場に入ってきたかと思うと、壇上にぴょんとジャンプしてあがりました。そして講演席に立つと、一歩下がって深々と一礼をされました。これはさすがの教師だなとその姿だけで、圧倒されました。

テレビやYoutubeで何度も見ているので、大体の話は知っているものでした。ただ、今回は質が違います。生での講演です。テレビでは抜けている大事な部分や、テレビでは伝わるわけがない空気とか、同じように聞いているほかの人たちのリアクションとか、そんなものを感じることができました。

まだ感覚が抜けないうちに、自分が忘れたくないこと・感じたこと・思ったこと・すべきことをあげてみたいと思います。
(文中に、水谷先生の発言と僕の考えが混在しているのでその辺要注意)

●イライラしている社会
 水谷先生のお話の中で、良く話されていることの一つで、イライラの連鎖がある。会社で上司に褒められ数と、怒られた数のどちらが多いか。妻が夫に、褒められた数と怒られた数のどちらが多いか。夫が妻に、褒められた数と怒られた数のどちらが多いか。子供が親に、褒められた数と怒られた数のどちらが多いか。その場でアンケートをとると、全て怒られた数が圧倒的に多くなった。みんなイライラしているということだ。ただ、大人と子供が違うのは、そのぶつけられる対象があるかないか。夫は妻にぶつけられる。妻は子供にぶつけられる。子供は何にぶつけられるのでしょうか。さらに最近では、夫一人の給料ではやっていけなくなり、妻も働きに出る。そうすると、もっとイライラが増える。今、世の中で増えているイライラの全てが子供が負っている状態。私たちに何が出来るのだろうか。

  
●自信がない子が増えている
 子供にイライラを押し付けたために、子供は自分を認められなくなってしまっています。自分の存在価値が分からないというわけだ。つまり自信がなくなってしまう。水谷先生がこの社会のイライラと、自信がない子が増えている現状をつなげたのは、僕にとっては衝撃的でした。何しろ、僕も全く自信が無い時期がかなりありました。そして自分以外にも、他の人がそんな状況の人を何人も見て来ました。全ての人が何らかの自信をもてる社会であったらいいのだが、そいうわけには行かない現実がある。もちろん、社会に出たら弱肉強食で、その自信で戦えたり戦えなかったりすることがある。なので、学生時代は、様々な可能性という伸び代を切り取らないで、学力以外、体力以外の個性というもの認める世の中を作っていく必要がある。まずは自分の周りからやっていきたいものだ。

●夜眠らない子と夜眠れない子
 イライラのぶつけ方の違いで、夜眠らない子と眠れない子に別れます。夜ぐっすり眠られる子は、心が健康という証です。ただ、イライラがあると、そうも行きません。元気の良い子は夜に外に出て行きます。家出をする。外で騒ぐ。暴走族になる。など様々です。外に出て行けないおとなしい子は家に居ます。家にいて何をするか、携帯電話やネットで見えない相手に助けを求める、自分を責めてリストカットをする。もちろん時期が時期なので悩むことも多いと思うが、問題が悩むことではないです。それをどのように消化できるかだ。僕も夜更かし好きだったので、そういう意味では眠らない子の方だったのでしょうか。でもさほどエスカレートすることなく、なんとかなった。エスカレートすると、取り返しがつかない。意思に反して、子供に命を落として欲しくないので、その前に何とか助けたい。

●人間は夜行性ではない
 喧嘩をする時間帯。大体が夜。これは自然とみんなが共感することだと思う。人間というのは根本的に昼間に生きる動物なのだ。それは誰に決められたものというルールではなく、前提としてのこと。だから、夜にいろんなことをしてはいけない。夜に生きるよりも、昼間で生きる人にならないと。

●携帯電話の恐ろしさ
 愛を何で語れるか。やっぱり直接しかない。メール・電話なんてぜんぜんだめ。講演で水谷先生が教えてくれた100%気持ちがつながる電話。それは今すぐ携帯電話を水に沈めること。糸電話のほうがどれだけ気持ちが伝わるか。それだけ、水谷先生は携帯電話を恐れていた。
 携帯電話を恐れる理由は、使い方を知らないうちに使うからだ。包丁の使い方は小さいときから親や先生にそばについてじっくり教わったもの。でも携帯電話はすぐに子供に与えてしまう。ネットも同じ。さて自分の子供にはどのように携帯電話を与えてやるべきか。そして自分も使い方を今もわかっているか、自分自身考えてみる必要がある。何しろ、ブログばかりやっているわけだから。

●人間関係を作るために、相手の文化に入る
 水谷先生はどこでも、人間関係を作るために、その生徒の文化に入り込んだという。暴走族の集会に行き、やくざの事務所にもいったそうだ。自分にはそこまでできるだろうか。自分の子供ができたとき、そこまでできるだろうか。偶然にも今日、やくざ屋さんがとある理由で家を訪れてきたけど、それだけでもビビッてしまった。それを超えるのが愛情なのだろうか。

●本当の気持ちとは
 高速を140キロで飛ばしているお父さんが子供に対して正義を持てといっても全然だめ。本当の気持ちは背中で伝えるもの。これは別に子供に対してだけではない。身近なすべての関係で成立するものなんだと思う。

●生きるためのリストカット
 リストカットは死ぬためにやっているんじゃない。生きるためにやっていること。これをはじめて聞いたときは驚いた。直接死ぬ方法だと思い込んでいたから。でも実際にはそうではない。これで自分の存在価値を確かめている。そしてそれをやめたほうがいいと指摘するのは逆効果という。肝心なのはそれをしている原因を取り除くこと。リストカットせざる終えない状況を取り除いてやることだ。もちろん、満たされている人にとってはこの感覚はわかるはずないこと。でもそんな人は数多くいるし身近にいる。会場で身近にリストカットをしている人を知っているかという質問を水谷先生がしたとき3分の1ぐらいの人の手が挙がった。僕もその一人。

●快感のメカニズム
 リストカットが痛いのは数日だけ。あるときから快感に変わる。そういわれたときまた驚いた。痛みを伴う脳内物質とともに、快感を伴う脳内物質が放出される。それがあるときから快感の脳内物質のみが出される。痛いから意味があるものだと思っていたが、それが快感になるというのだ。奈良で人の首を絞めて殺す性癖をもった人が犯罪を2年前犯してこの前死刑になった。3人ぐらいの人の首を絞めて殺したらしいが、それらをすべてビデオにとっていたという。1時間も2時間も、長い人は24時間かけて殺されたらしいが、それらの人は最初は苦しく抵抗するのだが、ある瞬間から快感にかわってケラケラと笑っていたという。恐ろしいと思った。そこまでではないが、こういう例は身近に数多く存在する。いじめられるのがあるときから快感になり、自分からいじめられるように振舞う。SMもその例。よく考えると普通ではない状態ということを自分でわからないといけない。これは身近に数多く存在すると思う。


まだまだ感じたことは多くあり書ききれないが、とにかく今回の講演は忘れられないものとなった。

そしてそれは、僕のこれからの人生でかけがえのないもの。なくてはないものだ。水谷先生、ますます好きになった。

コメント(2)

一度はブログを読んでおきながらスルーしてしまい申し訳ないです。
実は、MYキーボードの調子がおかしくて文字入力が出来なかったもんで...
(コレほんとです!!!)
ってそんなことは置いといて、......

こんなすさまじいレビューありがとうございます。
行かずして、水谷先生の講演を聞いたみたいになれました。
私が以前行った講演では話されていなかった(あるいは私が忘れた...汗)話もあって、またさらに考えさせられました。
やっぱ水谷先生はスゴイですよね!!!!!☆

>ちゃえこさん

コメントありがとうございます!
キーボード回復したようで何よりです。

まだまだ書きたいことは山ほどありますよ。
ただ、時間がなくてこの量に抑えました。

多分、年を重ねるごとに話す内容も変わっていくんでしょうね。今は、京都の花園大学で講師・研究をしているそうです。

花園大学は禅宗の大学で、無相(たぶん)の考え方(人間の言葉をはなれ、心でおしはかることのできないことをいい、それが万物の本来の相であることを意味する@Wikipedia)を何かに活用できないかといっていました。

それとは別に、宗教の力を利用して、いつでも受け入れてくれる寺(まさしく駆け込み寺)を数多く増やしているそうです。少しずつ効果を上げているとか。日本人って不思議なもので、お寺にいくと落ち着くそうですよ。

などなど、日々話が進化していたのもあり、色々な話が出ていました。

ああ、もう一回聞きたいわ~!笑

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このページは、マス風が2008年10月26日 16:49に書いたブログ記事です。

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