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2010年4月 6日

[小説] 午前0時の環状線(1)

午前0時。

大坂環状線の中に私いる。

真っ正面の泥酔リーマンを眺めながら、

平和さとこの世の末の、両方を感じながら、大坂駅に向かう。

はたして、ジャパンは、平和なのか戦争なのか、

自分の思考回路が混乱する。

そんなことを思いながら、今日のビールは最悪にまずかったことを振り返る。

同じ第三のビールだが、こんなにも違うものか。

そう感じながら、さっきの思考を思い出す。

やっぱり、ジャパンは平和だ。

第三のビールの話題でこんなにも話題がある。

しかし、これでいいのか?

さっきの泥酔リーマンが目を覚ました。

いや、自分の哀れな姿に気づいただけだ。

起きたのではなく、体勢を整えただけであった。

それは本能的に行われただけであって、

まだ完全にリーマンは夢の中だった。

すると、自分と同じサイドに座っていた一人の男が、

泥酔リーマンの隣に座った。

こいつは泥酔ではないが、こいつも確実に酔っている。

やるか?

僕は、目を離せなかった。

やると思ったのだ。

あの目は、完全にスリの目をしていたからだ。

僕は、わざとらしく、その男を睨みつけた。

今、やってくれるな。

やるなら、俺の見ないところにしてくれ。

そんなメッセージだ。

その男はやらかった。

少なくとも、大坂駅に着くまでは。

僕は乗り換えの為に電車を降りた。

しかし、泥酔リーマンは気付かない。

大半は乗り換えのはずだが、

それを確認するエネルギーは残されていないのだ。

すると、あのスリ師も降りないではないか。

もはや、僕のような、めんどくさい監視をする者はいなくなってしまった。

泥酔リーマン。

もう僕の手では救いようがない。

非常に残念であった。

しかし、この男、泥酔リーマンと再びこんな形で会うとは思わなかった。

あ、アニキ?

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このページは、マス風が2010年4月 6日 01:46に書いたブログ記事です。

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