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2010年1月22日
客観的な解釈~今の企業社会について~
私は、技術者であり経営者だった祖父の背中を見て育ちました。
数名で構成される親戚経営の田舎の町工場でしたが、祖父が亡くなる少し前には、
中国や大手に押されてか知りませんが、徐々に規模を縮小し、
祖父自身の体力的なものもあり、しばらくして組織解散へ進んだと思います。
もう私は大学で京都に出てきていましたので、状況をほとんど知らなかったのですが、
仕事がなくなってからの祖父は、それまであった勢いが一気になくなってしまったと聞いたことがあります。
仕事は人にとって生きがいであることは間違いありません。
実は祖父が仕事をする姿を、実際の現場で見たことはありません。
それは業務上危険を伴うため、立ち入らせてもらえなかったためです。
しかしながら、平日の仕事モードの祖父の姿は目に焼きついており、
田舎なので昼ごはんは自宅に一旦帰って取る形式になっていましたが、
昼飯を食べると同時に、会社のほうが落ち着くといって15分も経たずに、
会社へ出て行ってしまいます。平日は完全に仕事モードの祖父でした。
仕事をする姿を直接見たことはなくても、祖父が作ったものを見る機会は多くありました。
祖父の温かい本物のものづくりは自分の目に焼きついています。
本物のものづくりは人を幸せにすることを知りました。
そんな祖父の影響から大学は経営学を専攻していました。
経営学ですので、いろいろな企業の講義があるのですが、ベンチャー向けの学科を専攻ましたので、
そういった事業立ち上げという視点が多かったように思います。
高校を辞めて、大学には行きたいと、大検を受けて入学した経緯があるので、
基本的に講義で寝ることはあまりなく、まあやはり自分で目指した内容だったので、
興味深く聞いていた記憶があります。
当時から交流のある先生の話が印象深く、卒業生からの現実の企業社会についてのエピソードが多くありました。
その話から、現実の日本社会の過労状況というものを目の当たりにすることもありました。
基本的にすでに、終身雇用と年功序列の時代は終わっていましたから、それを前提とした話になるわけです。
あわせて、軍隊期間と呼ばれる入社3年間があることも知りました。一般的な会社は3年間は教育からいろいろなことを軍隊の如く一気に詰め込まれるのです。
しかしながら、大学生なわけですから、これから進むべく企業社会を悲観的に見る意味もなく、何らかの可能性を持って学んでいました。
その後、金融を軽く学び、企業支援という視点から、融資に興味を持ち、就活時期は銀行にインターンをしました。
銀行でやったといっても、なにも金融のことをやるわけではなく、内容は顧客満足についての実地調査です。
そのことから、サービスたるやなんぞやとの部分をかなり意識しました。
ここで学んだことを一言で言うならば、顧客満足の第一歩は興味です。
マザーテレサではないですが、無関心が一番の顧客満足が離れる理由なのです。
そんなことをやっておりましたが、学問的な経営学と実践の「あきない」が違うのは百も承知だったので、
今度は長期の実践的なインターンに行きました。
行ったのは、子会社として立ち上げられた新規事業でした。一応、ベンチャーです。
ほとんど、何もないところからのスタートを経験しました。実地でかなり苦しんだインターンとなりました。
やはり小規模の活動は面白いなということで、その後就活での指標になったのを思い出します。
そのころに出合った本が「成功への情熱―PASSION@稲盛和夫」でした。これは自分のバイブルとして、その後の人生の指標になりました。
ここから、私は人生とは、また企業の理念とはなんたるやの基礎を学んだと思います。
最近読んでいないので読み直してみたいものです。
それからは、ものづくりというキーワードが頭の中にふっと現れます。
これは完璧に祖父の影響でした。つまり、経営理念+ものづくりが、就職の一つの軸になりました。
あれから、もう4,5年が経つかと思うと、早いものです。
しかしながら、卒業してしばらくは軍隊期間なわけですから、とんでもなく意識的に自分の身を引き締めます。
ある意味での思考停止状態です。何でもWelcomeなわけですから、際限なく突き進みます。
これは、徐々に少なくなっていると思いますが、一般的な大学卒の思考回路です。
今年からは第一次ゆとり世代と称されているようなので、この実態は知りませんが、大学時代に少しでも企業社会の現実を学んでいればそのような立ち回り方をします。
しかしながら、あと少しで、軍隊期間(あくまで自分の中でですが)を終えようとしている中で、思考回路が一週周って、ようやく客観的な解釈が可能になってきました。
終身雇用や年功序列が衰退し、転職が当たり前になる時代です。
それでいて軍隊期間とよばれる期間が存在するのです。
ここを、企業は利用しない手はありません。
これは3年以内で辞める若者が多いというものの見方の裏返しです。
ものの見方を変えれば、利用された若者たちが多いのでしょう。
私の学生時代の友人も多くが会社を辞めているのは殺伐とした企業社会の今があるのです。
もちろん、みんな必死ですから仕方がありません。だから殺伐としているといいたいのです。
ただ、言っておきたいのは、この状況は、全てを否定するわけではありません。
私などの場合は、ぴたっと型にはまる時代も存在しており、そうなるとものすごく満足しながら成長することが可能です。
このような場合もよくあることです。
このような現象は、新しい企業システムが確立されれば、いづれ淘汰されるのは必然的ではありますが、
それまでにはしばらく時間がかかりそうです。
しかし確実にいえることは、その新しい企業システムを獲得した組織が一番伸びるということです。
価値観がすでに今の若者は違ってきています。
そのため、いままでの価値観で企業活動を継続している企業は大企業であってもよくはないでしょう。
ここで新しい企業社会をどのように創っていくかという話をしたいのですが、
私が一番懸念をしているのが、仕事の細分化です。
大きい仕事を、こまごまとした責任の小さいこまぎれの作業にしてしまい、
それをどの部分をやっているのかの説明を受けずに作業するとった具合のことです。
上記したとおり、私はCSを学んでいます。
CSの根本は関心を持つことなのです。
これからの企業社会の進み方によっては、細切れの効率化はまだまだ横行するはずです。
しかしこれからの細分化された価値観の社会ではそれが通じなります。
そして、そのような企業は顧客満足度が落ち込むことは必然的になるでしょう。
自分を守ることしか考えていなくなるのですから。
しかし、これをビジネスチャンスと捉える手があります。
企業社会とはある意味恐ろしい宗教に近いものがあります。
日本は、現状、無宗教状態ですから、企業に入れば企業の理念に染まります。
企業の理念なんて、何千年も伝わっている仏教などには到底及ばないものですから、
どこかに穴があります。
これからはこころの時代に入るわけですから、こういった視点でのビジネスは横行するに違いありません。
本来なら、お寺が見直されるといいのですが、これらは今後考えていこうと思います。
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