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2006年6月24日

鈴木邦男『愛国者は信用できるか』

冷静に考えよう。国を愛するってことはどんなことなのか。

鈴木邦男『愛国者は信用できるか』講談社現代新書,2006年

愛国心とは何か

愛国心の怖さ

間違った改憲の姿

天皇の意味

日の丸・君が代の意味


右翼も驚く今の右傾化した日本。アマチュア右翼、オタク右翼、ネット右翼……
新右翼一水会の顧問鈴木邦男が、そんな今の世の中に疑問視した一冊。以上の様々な疑問が見えてくる。

本書の中で天皇、女帝問題が出てくるが、ここでも今の日本の右傾化が見える。
天皇なんかは「人間宣言」していったい何年がたったというのか。そのときに側室が廃止され、一般の国民と同じ倫理観のなかにおかれた。そのはずなのに、男じゃないとダメだという人がいる。皇太子妃を迎えるときは、今も昔もその人の人間性を重視して向かいいれた。それでこそ皇太子妃としての役目を果たせる。しかしそれでは一般の家庭と同等、女の子しか生まれないことだって、さらには子供が生まれないこともある。だから側室があった。実際に正室からよりも側室から天皇になったほうが多いらしいから驚くが、よく考えると当たり前の話なのだ。皇太子妃は男を生む機械ではない。そんな残酷な話はないと感じた。

しかしこんなことが問題になるのが分からない筆者は思うようだ。
昔は天皇そのものの是非が問われた。しかし今はそんなことを言う人はいない。
女帝問題を筆者は「右右激突」、内ゲバだという。天皇というそのすばらしい姿は私たちの心の中にあり、それは「一系の天子が、千数百年にわたって、一貫した統治者であり、他系の権力者が帝位を簒奪した例がないという、世界にも類をみない歴史の事実(本書から引用)」であることで十分。そんな小さな考えで争ってもしょうがないのだが。

この本は基本的に根っからの右翼鈴木氏が本物の愛国心の姿を見せようとして書いたらしいが、実際には自分も間違ったことをしていたとして反省している姿がある。「愛国」のはずなのに、その基をなす人々に迷惑をかけたという。その意味で非常に冷静な愛国論を展開していたように思える。

「間違った愛国心」があった以前の日本。そんなものに近づくのを警戒しえいるかのようにも思える。

何かあると「反日」だ、というその理由というか道具にされている。

国旗でも国歌でも、憲法でも。間違った愛国にはならないでほしい。

しかし、その流れに私たちはあまり気づかない。

「仕立て上げられた愛国者」だ。

そんな流れはどうにかして止めなければならないと思う。

コメント(4)

ほほーう、おもろそうね、その本!
最近怖いよね、ほんまに。
学校で君が代とか国歌斉唱強制とかも・・・
政治の力は怖いっす。。

あと、たまに思うんが、調べ物をネットでしてたら、「赤旗」がヒットすること。
しかも、これが他の記事より分かり易い。。。
なんでも容易い物は○○付きですな。

この前、社会見学にと靖国神社(夏ごろ特集します)行ってから、その辺の出来事にすごく興味がでてきてね~。靖国参拝(今年も話題になってきたね)が何で問題になっているんか、もっと考えようということで、読んだ本です。

あ、ちなみにこの本の著者が「たかじんのそこまで言って委員会」にでてたけど、すごく中立的な意見やって面白かった。(それがきっかけで買ったんだけどね)

赤旗か~。一緒にマルクスも買ってきたので、これから勉強せな。
やっぱ白黒はっきりしすぎてるんかな~
郵政選挙のときもそうだったし、そう思うとどれも、、、

流れを止めるには、…何か一言いただけるともっと面白いものになったと思います。私は、身近な海外への差別を無くすことだと思う。本の中にも、北朝鮮や中国の例があったが、悪いイメージや実際に事件が起きてる国をもののようにひっくるめて悪く言わないことだと思う。国家国民は近代人の産物。移民族を受けいれたかつての日本人のようにおおらかに受け入れ、起こるところは怒るとか。敵国を滅ぼせの精神から戦争を生んだことを忘れてはならないと思う。

ynさん。コメントありがとうございます。

本当にそういった日本人の資質というのを見直す必要がありますよね。
この本を読んで「そういったものを“おおろか”と感じるのはなかなか高度だな」と思いましたよ。つまりは、日本人(こうやって本当は区切りたくないが)はそれだけ一歩下がって自分の国を見ているんだと思いました。大政奉還の流れもそれにしかりで、武士が武士を捨てることで成しえたというし。

私が、今のこの流れを止めるべく、何かするべきと言うとしたら「憂国の意識をもて」いうことだと思います。
つまり今の流れは本当によいのだろうか、とか国を心配したり、否定したり、憂いの気持ちを持ったりすること。こんな親心のような気持ちを持てば間違った戦争なんて起きないとおもいます。そういう差別もまたそうだと思います。

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